稀代の虐殺事件!その真相は一人の男に託された。
1995年、混迷を深めるボスニア・ヘルツェゴビナ情勢。 国連が議決した「安全地帯」にもかかわらず、孤立した都市スレブレニツァの住民、避難民たちに、いま残酷な現実が襲いかかろうとしていた。7月11日、侵攻して来たスルプスカ共和国軍は、なす術を失った国連治安維持軍の眼前で敵視するボシュニャク人を男女に選別。少年を含む男たちは他の地域に移送され、そのまま全員が消息を絶ってしまう。オランダ・ハーグに本拠を置くICTY(旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷)は事態を重視し、辣腕警察官ジャック・カルベスを派遣するが、捜査を開始した彼を待ち受けていたのは危惧していた以上の惨劇、そして、真相を隠蔽しようとする共和国軍と、軍を支持するセルビア人勢力の怨嗟と抵抗だった。