2018年4月、新宿シネマカリテほか全国順次公開
第74回ヴェネツィア国際映画祭においてヴェネツィア・デイズ部門フェデオラ賞を獲得し、ヨーロッパの批評家たちから大絶賛を受けた本作。監督は、『魔女と呼ばれた少女』(12)で第85回アカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされ、世界にその名を知られることとなったカナダの気鋭キム・グエン
物語は、遠く離れた地球の反対側から監視ロボットを通じて出会う男女の運命の恋を描く。デジタル機器やインターネットの普及によって、人との出会いやコミュニケーションの形も多種多様となった現代。SNSを利用することで国や人種や言葉、距離や時間の壁もなくなり、人間関係もグローバル化が加速している。本作は、まさにこの時代に生まれ、デジタルネイティブと呼ばれるミレニアル世代を意識した純愛ドラマといえるだろう。さまざまな手段でいつでもどこでも世界の誰とでも繋がることができる日常、その一方で、未だ古い風習に囚われ自由な生き方さえ許されない文化――そういった対極にある現実を、キム・グエン監督は“恋愛”という普遍的なテーマへと見事に昇華させた。
人間の心の深さ、触れ合いのあたたかさは、どんなにデジタル化が進もうと失われることはないと気付かせてくれる本作。観れば必ず誰かに想いを馳せずにいられない、唯一無二のラブストーリーがここに誕生した。
北アフリカの砂漠地帯にある石油パイプライン。そこで石油泥棒を監視する6本足の小さなクモ型ロボットを、遥か10,000キロ離れたアメリカ・デトロイトから遠隔操作しているオペレーターのゴードン(ジョー・コール)は最近、恋人のジャニーン(アレクシア・ファスト)と別れたばかり。上司のピーター(ブレント・スカグフォード)から勧められた出会い系アプリを試してみるも、ピンとくる出会いはない。そんなある日、ゴードンは監視ロボットを通して若く美しい女性アユーシャ(リナ・エル=アラビ)と出会う。彼女には、カリム(フェイサル・ジグラット)という恋人がいるが、親からは別の相手との結婚を強要されていた。そんな状況を知ったゴードンは、彼女を哀しい運命から救おうと、大胆な行動に出る・・・。