2018年2月3日よりヒューマントラストシネマ有楽町、 新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
本作は、『父の祈りを』(93)で第44回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞の功績を持つアイルランドの巨匠ジム・シェリダンの5年ぶりとなる待望の新作。アイルランドの人気作家セバスチャン・バリーがコスタ賞(英国の権威ある文学賞)を受賞した同名小説の映画化作品である。物語はアイルランドを舞台に、40年にわたり精神科病院に収容されているある老女の知られざる過去が、1人の医師と1冊の聖書によって明らかにされていくところからはじまる。激動の時代に翻弄されながらも、たった一つの愛を貫いた女性の生き様と長きにわたり封印されてきた衝撃の真実が、現在と過去の時間軸を行き来しながら壮大なスケールで描かれるミステリアスな大河ロマンだ。
本作で主演として若かりしローズを演じたのは、『ドラゴン・タトゥーの女』(11)の体当たり演技で世界的な注目を集め、『キャロル』(15)では第68回カンヌ国際映画祭女優賞を受賞し、名実共にトップ女優となったルーニー・マーラ。その凛とした強さと麗しさを兼ねた佇まいで、波乱と愛に満ちたローズの生き様を見事に体現している。もう一人の主演である老年のローズを演じたのは、これまでにカンヌ国際映画祭女優賞受賞、アカデミー賞助演女優賞受賞の功績を持つ、イギリスを代表する大女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ。不遇な日々のなかで一途に愛を貫くローズの決して失うことのない目の輝きに、圧倒的な存在感を感じずにいられない。また、『ハルク』(03)や『ミュンヘン』(05)など数々のハリウッド大作に出演の人気俳優エリック・バナ、『ダイバージェント』シリーズ、『アンダーワールド』シリーズでおなじみのテオ・ジェームズ、『シング・ストリート 未来へのうた』(16)で主要キャストとして一躍人気を集めたジャック・レイナーなど、ベテランから次世代の注目株まで豪華なキャスト陣が脇を固め、この壮大な物語に奥行と深みをもたらしている。
主人公ローズには一体どんな過去が秘められているのか――約半世紀のときをこえて徐々に紐解かれる記憶は、我々に思いがけない驚きと胸を震わす感動をもたらせてくれる。
アイルランド西部にある聖マラキ精神病院。取り壊しが決まり、転院する患者たちの再診のために病院を訪れた精神科医のスティーヴン・グリーン(エリック・バナ)は、赤ん坊殺しの罪で“精神障害犯罪者”として半世紀もの間収容されている老女ローズ・F・クリア(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)を看ることになる。赤ん坊殺しの罪を否認し続け、自分の名を「ローズ・マクナリティ」と訴え続ける彼女の様子が、一般的な患者と異なることに気付いたグリーン医師は、ローズが大切にしている1冊の聖書の存在を知り、彼女の過去に興味を持ちはじめる。ローズは何十年にもわたって、聖書のなかに秘かに日記を書き綴っていたのだ。そして、彼女は日記を辿りながら半世紀前の記憶を遡り、自分の人生を語り始める――