戦争がもたらす悲劇を体感させ、平和への願いと希望を次世代に託す
アカデミー賞R女優アンジェリーナ・ジョリーが、遂に長編初監督・脚本を務めた。それが『最愛の大地』である。国連UNHCRの親善大使を長く務めてきた彼女がテーマに選んだのは、第二次世界大戦以降のヨーロッパで最も悲惨な争いとなった“ボスニア紛争”。これまでもボスニア紛争をテーマにした映画は多々あるが、これほど注目される立場で大々的に、そこに居て体験した人間の慟哭を生々しく映し取った映画が作られた意義は大きい。さらにアンジェリーナ・ジョリーはそこに、<突然敵味方に分けられた恋人たち>、というロマンチックだからこそより悲劇的な関係を盛り込み、観る者の心を揺さぶる。長く人道支援活動を続けてきた彼女だからこそ、そして女性だからこそ大胆に、同時に繊細に表現し得た、まさに渾身の衝撃作。初監督作とは思えぬ迫真に満ちた展開に、最後まで釘付けにならずにはいられない。
セルビア系ボスニア人の警官ダニエルと、ムスリム系ボスニア人の画家アイラは、ごく普通の幸せなカップルだった。だが紛争が勃発し、2人はいきなり敵味方に分かれてしまう。アイラは連行され、ダニエルはセルビア系ボスニア軍の将校に。捕虜の中にアイラを見つけたダニエルは、彼女を救おうと手を差し伸べるがーー。